といえば、鳥類や木、蘭の生育地のイメージが思い
熱帯雨林といえば、鳥類や木、蘭の生育地のイメージが思い浮かぶが、実際には昆虫やクモ、ヤスデなど、節足動物の種類がはるかに上回るというしかし、広大な森林地帯でその数を推計することは困難だったこの度、サンプリングや解析の新技術を導入した大規模調査が実施され、1つの森林地帯に2万5000種以上の節足動物が生息していると判明した
舞台はパナマ、サンロレンツォの森林地帯スミソニアン熱帯研究所が支援するプロジェクト「IBISCA-パナマ（Project IBISCA-Panama）」は節足動物を対象とし、約10年の実施期間で6000ヘクタールの森林地帯に約2万5000種という集計値を明らかにした熱帯雨林の生態系ではこうした小さな生物がさまざまな役割を果たしているが、それを把握するためには、全体の数を知る調査が欠かせないという
「森林地帯のあらゆる生態系機能の中で、受粉から初期分解、葉の摂取、土壌への養分供給、そして森林再生に至るまで、節足動物は非常に大きな役割を果たしている」と、スミソニアン熱帯研究所の「CFTS節足動物プロジェクト（CFTS Arthropod Initiative）」の科学コーディネーターとして今回の研究を主導したイブ・バッセ（Yves Basset）氏は話す
バッセ氏によると、絶滅の危機に瀕しているケースが多いが、現存種の数と、生態系の中での役割が重複している種を把握できれば、保全活動の焦点を絞ることができるという「例えば木を分解する節足動物が1000種いた場合、500種に減るとどうなるか？ 森林の基本的な生態系機能に及ぼす影響は？ といった点を調査する」
プロジェクトでは、種が最も豊富な地域イコール植物の多様性が最も高いとわかったという「どちらも多様性がキーワードになるバラエティに富んだ植生があるから、節足動物も繁栄できる保護活動にとって重要な示唆となるだろう」と、フィンランドのヘルシンキ大学教授で共同研究者のトーマス・ロスリン（Tomas Roslin）氏は12月12日の記者会見の場で語った
バッセ氏のチームはサンロレンツォの林床を徹底的に分析するために、林冠クレーン（林冠観測用ゴンドラ）や熱気球などの新技術も投入したやがて10以上の地点から13万の試料が得られ、6100種に分類したという
約10年かけて構築したデータベースを元に、チームは森林全体に2万5000種の節足動物が生息していると推計したまた、その3分の2近くが、わずか1ヘクタールの範囲内に生息していることも判明したというつまり今後は、マンハッタンと同面積の森林で多様性を調査する場合、数区画分の範囲を選べば正確性を確保できるようになる
大規模調査が必要だったプロジェクトのため、21カ国から100人以上の研究者が集結した「アリの種類を特定するにはアリの専門家が、チョウにはチョウの専門家が必要だ参加した研究者の数が、この森の生態系の豊かさを表していると言っても良い」とバッセ氏は話す
さまざまな専門分野の研究者を総動員したプロジェクトの結果は、熱帯昆虫学の分野に一石を投じるものとなる「似たようなの研究調査は以前にもあったが、アリやチョウなどどれも範囲が狭かったIBISCA-パナマは、節足動物の全グループのサンプルを採取した初めての試みだ」とバッセ氏は話す
熱帯雨林といえば、鳥類や木、蘭の生育地のイメージが思い浮かぶが、実際には昆虫やクモ、ヤスデなど、節足動物の種類がはるかに上回るというしかし、広大な森林地帯でその数を推計することは困難だったこの度、サンプリングや解析の新技術を導入した大規模調査が実施され、1つの森林地帯に2万5000種以上の節足動物が生息していると判明した
舞台はパナマ、サンロレンツォの森林地帯スミソニアン熱帯研究所が支援するプロジェクト「IBISCA-パナマ（Project IBISCA-Panama）」は節足動物を対象とし、約10年の実施期間で6000ヘクタールの森林地帯に約2万5000種という集計値を明らかにした熱帯雨林の生態系ではこうした小さな生物がさまざまな役割を果たしているが、それを把握するためには、全体の数を知る調査が欠かせないという
「森林地帯のあらゆる生態系機能の中で、受粉から初期分解、葉の摂取、土壌への養分供給、そして森林再生に至るまで、節足動物は非常に大きな役割を果たしている」と、スミソニアン熱帯研究所の「CFTS節足動物プロジェクト（CFTS Arthropod Initiative）」の科学コーディネーターとして今回の研究を主導したイブ・バッセ（Yves Basset）氏は話す
バッセ氏によると、絶滅の危機に瀕しているケースが多いが、現存種の数と、生態系の中での役割が重複している種を把握できれば、保全活動の焦点を絞ることができるという「例えば木を分解する節足動物が1000種いた場合、500種に減るとどうなるか？ 森林の基本的な生態系機能に及ぼす影響は？ といった点を調査する」
プロジェクトでは、種が最も豊富な地域イコール植物の多様性が最も高いとわかったという「どちらも多様性がキーワードになるバラエティに富んだ植生があるから、節足動物も繁栄できる保護活動にとって重要な示唆となるだろう」と、フィンランドのヘルシンキ大学教授で共同研究者のトーマス・ロスリン（Tomas Roslin）氏は12月12日の記者会見の場で語った
バッセ氏のチームはサンロレンツォの林床を徹底的に分析するために、林冠クレーン（林冠観測用ゴンドラ）や熱気球などの新技術も投入したやがて10以上の地点から13万の試料が得られ、6100種に分類したという
約10年かけて構築したデータベースを元に、チームは森林全体に2万5000種の節足動物が生息していると推計したまた、その3分の2近くが、わずか1ヘクタールの範囲内に生息していることも判明したというつまり今後は、マンハッタンと同面積の森林で多様性を調査する場合、数区画分の範囲を選べば正確性を確保できるようになる
大規模調査が必要だったプロジェクトのため、21カ国から100人以上の研究者が集結した「アリの種類を特定するにはアリの専門家が、チョウにはチョウの専門家が必要だ参加した研究者の数が、この森の生態系の豊かさを表していると言っても良い」とバッセ氏は話す
さまざまな専門分野の研究者を総動員したプロジェクトの結果は、熱帯昆虫学の分野に一石を投じるものとなる「似たようなの研究調査は以前にもあったが、アリやチョウなどどれも範囲が狭かったIBISCA-パナマは、節足動物の全グループのサンプルを採取した初めての試みだ」とバッセ氏は話す
しかし同氏によると、多様性が高いとわかったサンロレンツォの森も、依然として保全する必要性があるという
「例えば半ヘクタール内に非常に多様な種が集中していたとしても、生態系はその範囲内だけで成立しているわけではない全体の傾向を把握するための狭いサンプル調査と、保全活動とは対象が違う森林の生物多様性を保全するには、全体を見渡す視点も大切になる」
今回の研究結果は、「Science」誌オンライン版に12月14日付けで発表された
しかし同氏によると、多様性が高いとわかったサンロレンツォの森も、依然として保全する必要性があるという
「例えば半ヘクタール内に非常に多様な種が集中していたとしても、生態系はその範囲内だけで成立しているわけではない全体の傾向を把握するための狭いサンプル調査と、保全活動とは対象が違う森林の生物多様性を保全するには、全体を見渡す視点も大切になる」
今回の研究結果は、「Science」誌オンライン版に12月14日付けで発表された
